RomanceLiteracy
海外ロマンス小説を中心にしたネタばれを含む読書感想

銀の瞳に恋をして  リンゼイ・サンズ

  銀の瞳の恋をして  リンゼイ・サンズ  二見文庫


日本デビュー作『いつもふたりきりで』が大好評だったリンゼイ・サンズの新作は現代のヴァンパイアもの、シリーズものでもあります。・・・リンゼイよ、お前もか。と思わないでもなかったです。前作がよかっただけにああいう作品が多い作家なのかと勝手に思っていたので、意外でした。
表紙が珍しくオリジナルイラストです。素晴らしい心意気です。・・・でも正直に言っていいですか?全然イメージと違います。チンピラ(ホストでも可)とキャバ嬢にしか見えないです・・・。そして二人とも顔が悪役です。イラスト全体の印象がロマンス小説っていうよりはYA作品のような感じです。そういう層を狙っているとか?!


ヒロインはニューヨークの出版社で働く編集者。前任者から引き継いだ人気ロマンス作家のヒーローとは今まで会ったことはもちろん、電話もメールもしたことがなかった。上司から彼をインタヴューかサイン会に引っ張り出すように強く言われたヒロインは電話番号もメールアドレスも教えてくれずNOの手紙しか寄越さないヒーローに業を煮やし直接彼の家を訪れた。実はヒーローは人間ではなく600歳を生きるヴァンパイアで、ここ数十年引き篭もりを生活を送って小説を書いてきた。家族の恋愛を小説化したらそれがロマンス小説として受け入れられただけで、特に宣伝をするつもりはなく、そのために人間と付き合うつもりはなかった。やってきたヒロインにもつっけんどんに対応するが、ヒロインはあきらめずヒーローの家に入り込み泊まっていくことになった。息子が隠遁生活を送っていることに反対するヒーロー母がヒロインに協力したため、ヒーローはロマンス小説のファンイベントに出席する羽目になった。


当然といえば当然ですが、全体的な印象はJ・R・ウォードのようなアメコミ系シリアス路線ではなく、キャシー・ラヴなどに近い軽いタッチの作品です。
前半のヒロインの厚かましさがすごーく嫌でした。勝手に泊まっていくと決めるとか、なんてずうずうしいの。ヒーローは別に宣伝に協力する契約を結んでいるわけでもなんでもないんだから、そんなことを責められる筋合いではないでしょう。ファンレターをいい加減に扱っていたことで一席ぶちますが、ヒロインはつまるところ自分の仕事にヒーローを利用したいだけでしょ?ヒーローがファンレターに適当な返事をしていたら宣伝活動はあきらめたんかい??
作中ずっとヒロインが会社の都合を気にしまくっていましたね。いや、ロマンス小説の主人公たちは仕事をおざなりにしすぎでそれはそれで困りますが、ヒーローが殺されかけた後ですら、翌日のイベントに出席できるかを気にしていたことにびっくりだよ。ヒーローは常人ではないにしても、その扱いはあんまりじゃないですか。
ヒーローがロマンス小説家というのもいまいちな設定なんですよね。ヒーローはかつて自分が見聞きしてきたことを著した作品が歴史書として受け入れられたという実績があります。同じノリで書いた家族(両親、妹、弟)の恋愛を小説化した作品がロマンス小説として受け入れられるってことになっています。ロマンス小説って一般的な小説とちょっとノリが違いませんか?ロマンスのお約束事に限らず、作者にそのつもりがなければロマンス小説にはならないのではと思います。それにヒーローにロマンス小説が書けるのかも疑問です。ヒーローは少なくともここ50年くらいは引き篭もりでかなりの世間知らずです。ピザを食べたこともなく、テレビを見たこともない(!)のです。そんな人がコンテンポラリー作品を書けるわけないでしょう。あと、弟妹の恋愛を小説化ってどうやって?ロマンス小説というくらいなんだから一応ラブシーンもあるんでしょうが、それは弟妹に聞いたの??それともヒーローの想像?どっちもすごく嫌だなぁ。こんな設定くらい流せればいいんですけど、気になるんです〜。
ロマンス小説のファンイベントにとっても筆が割かれています。もしかしてこの作品はロマンス小説関連の何かの記念に出版されたものでは??と思ってしまいました。ロマンス小説賛歌という趣があるんですよね。もしそうならヒーローがロマンス小説家という強引な設定もそのためかなと思えます。時系列に逆らってこの作品から出版したこともそうです。ヒロインが働くラウンドハウス社はもちろんランダムハウス社のもじりだろうし、キャスリン・フォークは実在のロマンス小説界の大立者だそうです。←ロマンス小説って面白い様参考。たぶん登場する作家も誰かしらモデルがいそうです。
日本でもハーレクイン主催のお茶会そのほかのイベントがありますけど、アメリカはその手のイベントがロマンス小説に限らずいろんなジャンルで頻繁かつ派手に行われているようですね。
ヒーローが殺されかけたりはしますがそれほど事件は起こらず(?)、ファンイベントのあらましと主人公たちのロマンスがひたすら語られます。
ヒロインは最初の厚かましさを乗り越えれば結構よかったんですけど、終盤一人合点して逃げちゃったり、ヒーローに告白されても逃げちゃったりで結局最終的に評価は上がりませんでした。もちろんヒーローと結婚するのは簡単なことじゃないですから躊躇したり悩むのいいのですが、その前に逃げちゃってるのが気になります。自分が強引に引っ張り出してきたんだからそこはプロとして最後まで仕事するべきでしょう。前半は厚かましいほど押せ押せだったくせにそりゃーないぜ。
ヒーローは当初は押しに弱いw引き篭もりでしたがずいぶん成長しましたね。でもテレビも見たことない人が、ゲームのグラフィック云々ついて語るのはやっぱり変じゃない?ゲームで勝利したときどんな踊りを踊っていたのか気になりますw仕切り屋の母親に慣れているせいか、年上(本当は年下だけど)の女性陣に可愛がられていましたね。ヒーローはルネサンス仮装舞踏会用の衣装をどこで仕入れてきたのんでしょう。当時持ってたとしたって今ではもう着られないでしょうから新調したんですよね?股間飾りもわざわざ注文したんかい?舞台や映画の衣装を作っているようなところじゃないとヒーローの希望には応えられなさそうですね。宝石つきのピンはきっと当時から後生大事に取っておいたのでしょうw
クリスは本人は記憶になくとも実は相当酷い目にあっているのに、なんだかんだと主人公二人を応援して、いい人だね。原書はシリーズ12作目まで出版されているとの事なので、彼にもヒーローになれるチャンスがあるかも??彼のユーモアのセンスはなかなかのもんですから。でも彼にチャンスがあるのなら、ヒーロー母がヒロインになる日もあるかもしれない・・・。既に4作目あたりまでは翻訳が決定しているようなので万が一を期待して待ちますw

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