2008.05.25

奪われたキス スーザン・イーノック

 奪われたキス スーザン・イーノック 二見文庫

「恋に危険は」で日本デヴューしたイーノックの邦訳第2弾はヒストリカルです。前作はライムブックスだったけど、今回は二見から。最近のロマンス小説ばやり、見えないところで熾烈な版権奪取が繰り広げられているのでしょうか。

ヒロインは今年社交界デビューしたばかりの子爵令嬢。ヒロインが子供の頃、母親が駆け落ちした挙句相手の男に騙されて捨てられるというスキャンダルを起こしたため、一家は領地に引きこもっていた。そして今、年頃になったヒロインに汚名を返上させるような立派な相手と結婚させるためロンドンに出てきたのだった。美しいヒロインは既に何人もの求婚者がいたが、より身分の高い相手を求めて保留状態にしてある。一方ヒーローは侯爵の位を持ちながらも放蕩者で、過去に女性を殺害したという暗い噂の持ち主だった。あるパーティでヒロインと出会ったヒーローはヒロインの美しさに心奪われ声をかけるが、家名と評判を気にするヒロインは冷たくあしらう。腹を立てたヒーローは彼女を手に入れようと計画を立てる。

うーん、この作者とはあまり気が合わないのか、いまひとつ面白くなかったです。
まずヒーローが駄目。こういうヒーローを可愛いと思えればいいのでしょうが、ちーっとも可愛くない!!くだらない男だな、というのが正直な感想です。社交界は評判が命!!特に女性は噂ひとつで身の破滅だってあるのです。ヒロインの場合既に母親の醜聞があるのだから慎重になるのは当然のこと、それをいちいち逆恨みするなっつーの。30過ぎの大人のやることかー??復讐計画もばかばかしいことこの上ないし。ま、そこはロマンス小説ですから、ヒーローのくだらない復讐心はいつの間にか二人の間にあるものを無視したことに腹を立てているということに摩り替わっていますが。
ヒロインはロマンス小説のヒロインの定番のひとつ、毒になる身内に毒されているタイプといえるでしょう。しかしいまいちその描写が下手なんですよ。娘より体裁を優先する父親に従っているという設定なのですが、その葛藤などがあまり伝わってこないです。たとえばジュディス・マクノートなんかはそういった描写が非常にうまく、読んでる読者は煮え切らないヒロインにいらいらさせられますwでも今回のヒロインのそうした言動はとってつけたようで、切実さや真剣みに欠ける気がします。
これは翻訳の問題なのかもしれないですけど、地文も会話文もやけに現代的で、ヒストリカルの重厚感がぜんぜんありません。内容的にもさほどヒストリカルにする必然性がないような・・・。ロマンスじゃこの手の内容の現代ものもありますから。
読んでいて、周囲の人間にまったく恵まれなかったヒロインが、下心ありまくりのヒーローに優しくされてほだされちゃったような感じがしてしまう・・・。父親は母親の問題を娘になすりつけ家名のためなら年寄りに娘を売ることも厭わないような男だし、兄は無責任で頭の悪い中途半端な遊び人、叔母は父親と似たり寄ったり、さらには頭のおかしい公爵家の伯父と甥の求婚者。こんな状況じゃ、ヒーローが素敵に見えちゃうかも・・・。でもヒロインがヒーローに(見た目以外で)惹かれる過程があまり描かれていないので、かなり唐突にベッドにいったように見えます。そこにも葛藤や悩みがあまり描かれておらず(一応悩んでみせてはいるのですが)、どうも全体的に薄っぺらい印象です。
後半ヒーローが放蕩生活を送っていた理由が明かされますが、それもやはり薄め・・・。海外で諜報活動してれば、裏切りは想定範囲内だと思うんですけどね。リチャードも馬鹿みたいだよ、そういう状況でヒーローが殺したからって何であなたが裏切られたつもりになっているのかさっぱりわかりません。二人とも優秀な諜報員という設定なんでしょうけど、どちらも所詮貴族のナイーブなボンボンで、スパイごっこに過ぎなかったのでは・・・。その後放蕩者になったヒーローに同情なんて出来ないや。
ヒロイン兄も使えないこと甚だしい。正気に戻るのが遅すぎるし、戻ってからもたいしたこと出来るわけでもなし・・・。ペネロピ嬢は考え直したほうがいいじゃないでしょうか。ヒロインの兄だから見た目はそこそこなんでしょうが。そもそも名誉挽回は嫁に行く妹でなく、当主となる兄がやることだろうに。
トータルな出来はそこそこですが、ここがいい!!というのに欠ける作品でした。

ヒーローメロメロ度75
2007.10.19

恋に危険は スーザン・イーノック

スーザン・イーノックの日本デビュー作になります。

ヒロインは美術コンサルタントを隠れ蓑にした泥棒。あるとき依頼され品を盗みにイギリス人実業家の大邸宅へ潜入すると、そこにはいないはずの家の主ヒーローがいたうえ、予期せぬ爆発に巻き込まれ、ヒロインはヒーローを助けて脱出する。ヒロインは自分の爆破の容疑を晴らすため、そして事件の真相を探るために、ヒーローの家に再び忍び込んで彼に協力を依頼する。ヒーローはいったんは断ったもののヒロインへの好奇心を抑えきれず二人は協力して真相に当ることに。
自分のやり方を通すことに慣れている二人は、しばしば反発しあいながら互いの腹を探り合う。ヒーローはヒロインが泥棒であることを受け入れられないものの、彼女に惹かれていき、ヒロインもゲームに過ぎないと自分を戒めながらも彼に好意を持ち始める。

うーん、期待してたんですがちょっと私の好みからは外れる・・・・・・。
ヒロインが駄目でしたね。泥棒というロマンスヒロインとして異色の職業についていますが、それがプラスになっているかというと、あんまり・・・・・・。そもそもそんな世界をまたにかける大泥棒に見えないし。
美術館や博物館からは盗まないなんてえらそうに言ってるけど、ヒーローが博物館に寄贈するはずだったお宝を盗むのは構わないんだ・・・・・・。だいたいヒロインが盗んだ品は依頼人が死ぬか捕まりでもしない限り陽の目を見なくなる、一般公開するどころかまともな研究者さえ近寄れないでそのまま闇に消えてしまう可能性だったあるんですけど。自分は文化財に理解があるみたいに思ってるけど、どこが??って感じです。殺しはやらないにしたって、殺人を生業にしてた男と付き合うのは問題ないようで・・・・・・なんだかなぁ。
ヒロインのこの節操のなさというか、倫理観のゆるさがどうにこうにも気になる。ついでに言えば表紙のモデルさんがかわいくない<そんなのかんけーねぇ
ヒロインの粋なつもりの泥棒ルールに納得いかないです。泥棒は泥棒なんだから、変に言い訳しなきゃいいのに、開き直りが足りないYO!!
だいたいヒロインが泥棒してる理由もいまいち。父親が泥棒でノウハウを教えられたから、スリルが好きだから。えっそれだけかい?!もうちょっと確たる動機付けがほしいところです。
作中のヒロインがそれなりに魅力的なだけに、基本設定のマズさが気になります。
ヒーローは悪くないんですが、あまりインパクトがないです。世界で1,2を争う大富豪、もちろんセクシーでハンサム、適度に傲慢で、ヒロインにメロメロ。いかにもな感じ過ぎて印象が薄いです。
次回作に期待します<出版されるかどうかは知らないけど


ヒーローメロメロ度85