2008.08.26

理想の花嫁  サマンサ・ジェイムズ

 理想の花嫁  サマンサ・ジェイムズ  ソフトバンク

ソフトバンクからヒストリカルの新人さんです。読者の皆様から表紙の写真にもっと気を使えと指摘されたためでしょうか、今回はなかなか上品でそれらしい装丁ですね。ヒストリカルの表紙で普通のモデル写真を使うのって無理があるんだよね、いまどきのお洋服着てたんじゃまずいから。だから写真が変なところで切れてたりする・・・。表紙に使えそうなモデル写真もウェブ上から持ってくるには限りがあるのでは??

ヒロインは私生児として生まれ、父親を知らない。母親はかつて上流階級の家庭教師をしていて身分違いの男性と恋に落ちヒロインを身ごもり未婚の母となったのだ。男性からはネックレスをもらっただけで結婚しなかった母子の生活は厳しく貧民街でつつましく暮らしていた。母親が亡くなった後ヒロインは安酒場で女給をしていた。酒場からの帰り道ヒロインは二人組みの強盗に襲われる。形見のネックレスを奪われそうになったヒロインは護身のナイフで一人を刺し、自分もまた強盗に刺されてしまう。そこへ放蕩者の弟を迎えに来た侯爵・ヒーローが通りかかり傷を負ったヒロインを自邸に連れ帰る。ヒロインは怪我が癒えるまでヒーロー宅においてもらうことに。

マイ・フェア・レディ系の王道ヒストリカルです。育ちは悪くとも純情可憐なヒロインと、身分は高くても愛を知らないヒーロー、最近の奇をてらう作品に比べるとびっくりするほどベタな展開w
しかし、なんかちょっと物足りな感じが・・・。王道なのはいいのですが、少しばかりご都合主義が過ぎない??特に終盤はひどい。ある意味これこそロマンスの王道なんですが、偶然に頼りすぎではないかと。
ヒロインは貧しい暮らしをしながらも母の教えと誇りを胸に秘めた女性。とてもいい子なんですが、ヒロインの境遇はかなり劣悪な状況で、それでこの性格ってちょっと能天気過ぎでは・・・。裏で当然のように客を取ってるような安酒場で働いてるわりには男女のことにあまりにも疎いし、ヒーロー兄弟に対して警戒心薄すぎるでしょ。夢のような御殿に住んで浮かれちゃってるところもあるでしょうが、ちょっとその辺のヒロインの性格に納得がいかないですね。ヒロインは世間知らずのお嬢様じゃないですから。ヒーローに惚れたあとも何も考えずに突っ走っちゃってるし・・・。
ヒーローは体面ばかりにの父親に厳しくしつけられ、母親の駆け落ちという醜聞を返上するため、自らを常に律し身分と責任を弁えた行動を取ってきました。そろそろ自分にふさわしい花嫁を見つけるつもりと宣言した直後にヒロインと出会い、以後自分の立場とヒロインへの思いの間で煩悶します。典型的な長男タイプのヒーローで、メロメロと我慢の間を行ったり来たりして悶絶していますw
ヒーロー弟が出てきますが、ちょっと鬱陶しい・・・wそもそも最初に傷ついたヒロインを見て乳首の色がどうのこうの言ってるあたりで人間性を疑います。貴族の酷薄さを描きたかったなら成功ですけど。こういうヒロインが意思に反して裸をさらす、というシーンてわりとロマンスには多いけど何がしたいのか、作者の意図が良くわかりません。少年漫画のパンチラのほうが狙いがはっきりしてる分まだましって感じ。
この次男が次回作のヒーローでしょうか、それとも妹かな。兄弟の構成が先日の「美しく燃える情熱を」と一緒ですね。父親は冷酷で母親は他界、なんだか似てるけど、この手の設定はそれこそお約束なのでこの2作品に限ったことじゃないですね。
ヒロインの祖母外登場するのですが、そもそも何しに来たの??また随分と都合よく来たもんで。ヒーローとそんなに親しかったですか??ヒロイン祖母はヒロインをデヴューさせるって息巻いてますけど、時代性ゆえ仕方ないのかもしれないけれど、社交界に出るってそんなに大事なんですかね。わざわざ姦しい社交界に打って出る必要性がわかりません。ヒロインの出自は変えようがないし、自分の馬鹿息子の責任をヒロインに負わせることになるって事がわからないんですかね。
ヒストリカルでもたまにシングルマザーになるとか言い張るヒロインがいますけど、実際のところうまく行ってもこの作品のヒロイン母子みたいな生活になると思うのです。売春婦までいかずに済んだのは運が良かった(ていうかヒロインだから)からに過ぎないでしょう。
ハリーもまたうまい具合にご登場でしたね。もつれた主人公カップルは命の危機がないと素直になれないのです。
ちょっと物足りないところもありますが、正統派ヒストリカルを読みたいときにはいいのではないでしょうか。

ヒーローメロメロ度85