2008.08.05

あなたに夢中 ステフィー・ホール

 あなたに夢中  ステフィー・ホール  サンリオ(シルキーロマンス92)

ステフィー・ホールとはステファニー・プラムシリーズで知られるジャネット・イヴァノヴィッチのロマンス作家としてのペンネームです。この「あなたに夢中」(原題FULL HOUSE)は、イヴァノヴィッチのお気に入りの作品だったのか、最近になってリライトされ、日本でも「気分はフルハウス」(扶桑社)として刊行され、さらに続編「気分はフル回転!!」も出ています。私は既にリライトのほうを読んでいたのですが、確かにリライトのほうが最近のイヴァノヴィッチの持ち味が出ています。逆にこの「あなたに夢中」はよりスタンダードなロマンス作品といえます。

ヒロインは2年前に離婚して二人の子供を育てている教師。夏休みの間子供たちが前夫と旅行に行ってしまうため運動不足解消もかねてポロを習うことにした。ポロスクールを主宰しているヒーローは地元で有名な資産家で他に新聞社を経営している。馬好きか、あるいは自分目当てで参加してくる女性がほとんどのポロスクールでまるでそぐわないヒロインを見つけたヒーローは彼女が気になって仕方ない。いかにも主婦兼母親然としたヒロインはまるで自分の好みと違うのに目が離せない。馬に乗りなれないヒロインを連れて厩舎で馬の世話を教えてやっていると、ヒロインが馬に足を踏まれ怪我をする。ヒロインを病院へ連れて行き家まで送ったヒーローはそこでヒロインに自分の家にいる厄介な従妹を押し付けようとした。

リライトは文庫で結構分量がありましたが、この元本のほうはさほどページ数がないので万事あっさり。とはいえそのぶんロマンスが特化されているのでロマンス小説としては十分楽しめます。
作中にはヒーローの二人のいとこ、もうすぐ4回目の結婚をするディーディーと危険な爆弾魔のユージーン少年を中心におかしな身内が登場します。たぶん作者は大量に出てくる主人公たちのおかしな身内を描ききることが出来なかったことが心残りでリライトしたのではないでしょうか。実際リライトではヒーローいとこの二人の出番がかなり増えてるし、続編ではユージーンが名前を変えてヒーローとなっています。
ヒーローはそれまでお金持ちの独身貴族として気楽に生きてきたようですが、ヒロインに出会って以来すっかり彼女に釘付けです。押しが強いところもありますが、育ちがいいせいですかね、強引過ぎるところはなくヒロインに対して誠実な態度で大変好感が持てます。おかしないとこ二人をそれでも大事にしていたり、ヒロインの日常生活をきちんと尊重しているところなど実に話のわかる男です。
ヒロインはハンサムでお金持ちのヒーローが自分とまともに付き合う気があるわけないと、当然最初は思いますが、ヒーローの人柄に触れるにつけ彼に心から惹かれていきます。
しかし二人とも人様の家に初めて入ったのに、我が物顔でキッチンを使ってるってどういうことよ??ヒロインなんてガラス割って入ったディーディーについてきただけで招待されたわけでもないのにw
あちらこちらに現在の作風に通じる描写(問題のいとこはもちろん、ヒロイン方の善意だが厄介な身内など)がみられますが、全体的には素直でストレートなロマンスとなっています。
ヒロインの子供たちも不自然でないくらいに素直で可愛いですが、それを広い心で見守るヒーローの優しさはやっぱりロマンス小説のファンタジーでしょうか。

ヒーローメロメロ度90